ファッションデザイン

本事業におけるファッションデザインとは

ファッションデザインとは何か。如何なる資料がそこに紐付けられるべきか。この問いに明確な線引きをもって応えることは困難である。しかし、本事業の目的であるファッションデザイン・アーカイブの構築に向けた手法検討を進めるには、この問いに何らかの形で応えることが不可欠である。

そこで本拠点では、今後の調査・研究の進展により内容が変化することも考慮しつつ、ファッションデザインの大枠を以下のように暫定的に整理した。

資料が以下の要件を満たした場合、これをファッションデザイン資料と捉える。
A 着装物であること。
B 意匠が魅力的であること。
C 美的であること。
なお、実物資料に加えて、これらの製作に関わる画帳および文書類も含む。

ファッションデザイン収集対象案

本拠点では、上記の整理に基づき、収集対象となすべき資料群についての試案を作成した。

対象は「和装」関連資料とした。これは、我が国が生み出した数々のファッションデザインの中で、国内海外のデザイナー、クリエイターに最も重要な影響を与えているもののひとつとして「和装に由来する意匠と形状」があり、その関連情報の収集とアーカイブ化が急務である、との考えに基づくものである。

ただし、こうした対象の選定は、本事業が目指すアーカイブが和装資料の収集のみで完結することを意味しない。対象はあくまでファッションデザイン資料であり、そこには本来、和洋の別はない。本事業が進めるアーカイブ手法の検討は現段階では和装を軸に据えたものであるが、いずれその枠を広げてゆく予定である。
なお、本事業の成果として示すアーカイブモデルは、ファッションデザイン全般に適応するものであることを付言しておく。